ある会社の社長の社内配信文です。
人の上に立つ立場になれば、参考になる文面かと思い、一部を抜粋、編集の上、転送します。
【以下、転送分】
『自尊心を捨て去る』
幹部研修会で、A課長からこのような質問がありました。
「自分も営業部で精一杯頑張っているのですが、目標を達成しようと言う思いが強すぎるせいか、周りに対して言葉がきつくなったり、イライラしたりと自分をコントロールすることが難しいときがあります。」
といった内容です。
これはある程度、人の上に立つ立場になった人であれば、誰しも身に覚えがあることではないでしょうか?
自分が真剣に頑張れば頑張るほど、周りが疎(うと)ましく思え、
「何でもっとキチンとしないんだ!」
と、A課長のようにイライラしてしまうのです。
イライラぐらいであれば、まだましかもしれません。
度を超して相手を見下したり、暴言を吐いたりと、ここまでくるともはや迷惑千万、近寄って欲しくない存在でしかありません。
真剣に仕事や努力をしたにもかかわらず、周りからは総スカンを食らい、嫌われ者になるのですからこれは割に合いません。
かくいう社長の私も、この件に関してはしっかりと経験済みです。
私も、「これで多くの社員から会社を辞められました!」と洒落にならないくらい、自意識過剰、そして自尊心が強かったのです。
原因は、会社を発展させようとする想いが強すぎたことが原因かと思われます。
当時、年齢が若かったこともあり、「こうだ!」と決めたら人の意見など聞きもせず、強引に物事を進めていきました。
そして思い通りに行かないと、いつもイライラしていたのです。
けれども社員達はたまったものではありません。
「ついて行けない!」と去って行った社員もおりました。
まさに若気の至り、自尊心が全開だった時代です。
しかしながら、このエネルギーがあったからこそ、ここまで突っ走って来れたのもまた事実なのです。
だから、上昇志向におけるA課長の悩みも、前回の幹部研修会で同じような質問を投げかけてくれたB課長の気持ちも分からなくはありません。
確かに人は成長の過程にあるときは、この自尊心が強力な成長のエネルギーとなります。
しかしながら自尊心は両刃の剣、人を傷つけ、敵を作るというリスクもはらんでいるのです。
よって私は過去を反省し、そのようなやり方は止めようと決心しました。
皆さんの能動性を無視し、いちいち仕事に口を挟んだり、自分の思い通りに皆さんを動かしたら、私自身はすっきりするでしょう。
けれども社員は疎ましく思うに違いありません。
たとえそれで売上げが上がったとしても、歓びのない「楽しくない会社」になってしまいます。
良かれと思ったことが、逆に会社の活力を削いでしまうのです。
そこから自分を見つめ直しても、人の上に立った暁には、自分の持つ自尊心を捨て去らなければならないのです。
「努力をしている俺を認めろ!」とかいう、自己を主張する器の小さな自分がいる限り、人は認めるどころか、むしろ敵対心を持ってしまいます。
リーダーを目指すのであれば、もっと大きな器を持つこと。
自尊心を捨て切った幕末の幕臣・山岡鉄舟はこのように言いました。
「金もいらぬ、名誉もいらぬ、命もいらぬ人は始末に困るが、そのような人でなければ天下の偉業は成し遂げられない」
と。
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