今や世界的は企業として、一般人の間でも、iPhoneやiPadが浸透し、日本人に誰しも知られたアップルコンピューターですが、創業者のスティーブ・ジョブズが他界しても、昨年は存在感の大きい会社という感じがしました。
そのアップルコンピューターの飛躍の秘密が、実は職場の環境整備だったということを知りました。
松井博著、「僕がアップルで学んだこと 環境を整えれば人が変わる、組織が変わる」の内容の一部を共有させて頂きます。
スティーブ・ジョブズは、アップルコンピューターという会社を立ち上げるものの、社長の座を追われました。
その後アップルは、経営不振で地に落ち、スティーブ・ジョブズの復活によって飛躍。
このサクセスストーリーは、さまざまな人が語っています。
特に有名なのは、「Think different.」
http://www.apple-style.com/thinkdifferent_mov.html
この考え方がなかったら、iPhoneも、iPadも生まれなかったでしょう。
しかし実は、「Think different.」キャンペーンの前に行なったのが、徹底的な環境整備だったそうなのです。
スティーブ・ジョブズが去った後、アップルの社内のモラルは、ひどい状態になっていたようです。
タバコを吸いに行って帰ってこない社員、犬や鳥などペットを持ち込んで庭で遊んでばかりいる社員もいたそうです。
床には、コンピューターや周辺機器が置かれていました。
試作機がなくなってしまうこともしばしば。
試作機がなくなるほどですから、機密情報はダダ漏れです。
こんないいかげんな社風ですから、商品のクオリティが低かったのは当然かもしれません。
1996年には、コンピューターのボディから出火するトラブルもあり、リコールの対象になりました。
このようなひどい状況で、スティーブ・ジョブズはアップルに戻りました。
戻って最初に行なったのが、環境整備でした。
「整理」と「整頓」です。
選択と集中のためにプロジェクト数を絞り、前任社長時代の5分の1にし、タバコもペットの持ち込みも禁止にしたそうです。
このジョブズの考え方に習って、日本でも「整理整頓委員会」が立ち上がりました。
各自の机を毎月チェックすると同時に、機材は1箇所に集め、棚を設置して図書館のように貸し借りができるシステムに。
集めてみると、ハードウェアだけで3000点以上もあったそうです。
ソフトやケーブル、消耗品などを入れると、どれだけモノであふれていたのかわかります。
1年後に、使用履歴が把握できると、今度は使用していない機材を思い切って破棄。
残った機材も半分は外部倉庫に預けました。
これにより、手狭に感じていたオフィスは、1人のワークスペースが拡大しだだけではなく、共用スペースをつくってソファをおくこともできるようになりました。
当然、探し物が皆無になり、作業効率が劇的にあがったといいます。
その力は、絞られたプロジェクトに集中させることができました。
こうして土壌ができたところに、「Think different.」のメッセージ。
スティーブ・ジョブズの奇抜な発想と、アップル飛躍の大元には、環境整備があったと聞き、とても嬉しくなりました。
物が乱れたままにしておくと、働く人のモラルが下がります。
物的環境「不」整備を放置しておくと、人的環境整備に影響を及ぼす魔の循環がはじまるのです。
同時に、物の乱れを起こすのも、「人」です。
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